2014年09月09日

ブンヤパイン(南洋杉)

BunyabunyaBunyabunya2フォッカチオコンポート
























ブンヤパイン(南洋杉)

Bunya−Bunya Pine

 

ブンヤパインの学術名(Araucaria bidwillii)は、チリのインディオであるアラウカニ族から来ています。アラウカニは現地の植物であるモンキーパズルツリー:チリ松(A.araucana)から取れるナッツを食べていました。

ブンヤパインはもともと、野生のナッツや種子を採集した最初のヨーロッパ人であるアンドリュー・ぺトリーの名前をとってぺトリーズパインと呼ばれていました。今では、正式名称はイギリスの王立植物園(Kew Botanic Garden)にサンプルを送付したJ.C.ビッドウエルの名前から取っています。一般名はアボリジニ名であるブンヤブンヤから派生しています。


 ブンヤパインが属しているファミリーは原始的でジュラ紀(14000-9000年)のゴンドワナ大陸で進化した植物まで遡ります。化石の証明もまた、この植物ファミリーは古代に広範囲な地域に広がった事を示しています。しかし、その分布地域は時間が経つにつれ狭められてきました。最初の白人がオーストラリアに入植してきた時、ブンヤパインはクイーンズランド南東のジンピーの南に広がる海岸地帯、そしてクイーンズランド北部のロックハンプトンとケアンズの間でのみ見られました。今では、ブンヤパインは南東オーストラリア全体に生育しています。


 ブンヤパインは1本の幹で30m以上の高さに成長し、また粗いうろこ状の樹皮からなっており、葉は堅く先端は尖っています。古い木は、下の枝が細くなり大きな矢じりのような外観を呈する事で冠を形成します。この形から、遠方でもこの木を認識することが出来ます。木は雌雄同株で、雄・雌両方の球果を結実させます。しかし、雌の球果のみが食用ナッツを含有し、しかもすべての木が球果を結実させるとは限りません。球果を結実させる木にしても成熟するまでに14年ほどかかり、最終的に2.5cmほどの長さのナッツを覆った殻が10数個入った大きなグリーンのパイナップルに似た球果を結実させます。これを境に、場合によっては毎年、普通3年ごとに結実します。


 昔は3年ごとの豊作時期に数百キロ離れたところからアボリジニの部族が集まりナッツ採集が行なわれました。1850-60年代にブンヤパインナッツ儀式のために南東クイーンズランドにあるブンヤマウンテンとフラッカルレンジにアボリジニが集結したという記録が残っています。最後の盛大なお祭りは1876年に行なわれました。

集会は、重要な儀式やイニシエーションが実施された時だけでなく口論などの問題が決着した時などにおこなわれました。これらの活動が後でどう猛な戦い伝説の起源となり、これらの伝説が長期間に渡って続くであろうでん粉質のブンヤパイン中心の食生活に備えて、生き残った者たちの肉に対する味を満足させるカニバリズム(人食い)に結論づけられたことを意味していました。最初のカニバリズムに対する言及は、1800年代にビクトリア政府アボリジニ保護委員会の役人であったブロー・スミス(Brough Smyth)によってなされました。この伝説はそれ以来ことあるごとに引用されています。

ブンヤ山の山頂はモーバラン山(Mount Moubullan―名前は樹木の生えていない地表面から“禿げ頭”という意味に由来しています)と呼ばれています。この地域は神聖なところとされ、アボリジニ達は近くで露営しようとしませんでした。そのかわりに、近くの渓谷に集まり狩や饗宴を催しました。これはある意味では現実的な対応でもあったのです。というのも、木の近くで露営することは40mの高さから10キロ近い球果が落ちてくる危険性に直面しなければならなかったからです。


 ブンヤパインナッツはさまざまな熟成度によって食されていました。熟成する前の木から採集される球果は甘く、生の状態で食されました。しかし、採集するためには木に登らなくてはなりませんでした。大きな木には、今でも足がかりを作るために斧で傷つけた痕が残っています。ただ、記録によると木に登ることは普遍的な習慣ではなく、あるアボリジニの種族ではそうすることを厳格に禁じていました。足がかりがあったとしても、木に登った若者は、幹、枝、葉っぱの刺で傷ついたり刺されたりして悩まされました。当時のアボリジニの習慣について書いたクレメンツ博士は、このケガはブンヤパインナッツを中心とした食生活に帰すると述べています。彼の記録には“アボリジニは健康で良く育っているが・・・・・・若者は一般的に体中キズ痕だらけで帰ってくる”と書いてあります。


 熟した球果は地面で採集されました。ナッツは取り出された後、砕いて生のままで食べたり、またそのまま灰の中で蒸し焼きにしたりしました。灰による調理は炭と比較して時間がかかりますが、急激に高温で火を通してナッツが破裂する可能性が低くなります。調理されたナッツは砕いてそのまま食べるか、あるいは乾燥してひきわりにしました。調理されたナッツは風味・歯ざわりともに松の香りがほんのりしますがヨーロッパのチェスナットに似ています。生のナッツは、湿って水捌けの良い地中に数ヶ月間埋められます。ナッツは簡単に根を生やし、新芽が現れる塊茎を形作ります。地下貯蔵は、ナッツが乾燥することを防止し食物源としての期間を延長するという意味だけでなく、木のように堅い殻から食用部分を取り出すことを容易にする方法でもありました。芽の生えたナッツは回収され、殻のついた塊茎を除去してからローストして食べます。


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世紀には、ブンヤパインはその地域のアボリジニの重要な食物源であったことからクラウンランドのブンヤパインを伐採することは違法でした。不幸な事に、1889年にさかのぼってプランテーション用植物として推奨されていたのですが、現在は松の群生林は貴重な材木のために切り出されています。木材の特徴は既に導入済の松(Pius radiata)に似ています。また、1891年にナチュラルサイエンスレビュー紙(Revue des Sciences Naturelles)”Sur le Bunya Bunya”という記事はヨーロッパにおける栽培とその製品についての記述があります。

 現在では多くのブッシュフード専門シェフによってパン、フォッカチオ、コンポート等現代風に食べられるレシピが開発されています。


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2011年01月24日

リリピリーズ(Lillipillies)

リリピリーズ

Lillipillies

 

リリピリーズ

多くの種類のリリピリ-ズが、多雨林・森林地帯や都市部の講演・庭で見られます。自然環境の中では、背の高い木で果実は地面に落ちて表面をピンク、紫あるいは白に彩った時のみ入手可能です。リリピリ-ズは、少しでも空きスペースがあると大きく広がった形に成長し、低い枝に付いている実は熟して地面に落ちて傷つく前に簡単に収穫する事ができます。

 いくつかの特徴を把握することで木を見分けるのはそれほど難しくはありません。葉っぱは、一般的に色、艶、形、手触りの面でアジアカメリアに似ています。通常、底面の色は浅くオイル腺が散らばっています。実の色は同種でもさまざまな色がありまた大きさも異なっています。






リリピリーズ2葉っぱの小さいリリピリ-ズ(Syzygium luehmannii)には、赤いピンク色の西洋梨の形をした1cm弱の大きさの実がなります。ノーザンラブアップル(S.suborbiculare)は、ピンク、赤かあるいは縞模様になっており、直径7cmくらいの大きさに成長します。



リリピリーズ3

全てのリリピリーズはスイカのようにシャリッとした歯ざわりで、味は非常に酸っぱくて食用になりそうにないものからシナモンやチョウジ(クローブ)のように強い風味のものまでさまざまです。オーストラリアのチョウジ(クローブ)は、モルッカ(Moluccas:S.aromaticum)に属するSyzygium種の一種です。








栽培したり採集したりするのに興味深くまた味の良い種類は以下の通りです。

 

  スクラブチェリー Scrub cherry(S.australe)

  ペーパーバークサティナッシュ Paperbark Satinash(S.bungadinnia)、ケープヨークのアボリジニにとって重要な季節の常食です。

  バンピーサティナッシュ Bumpy Satinash(S.corniflorum)、老木の実をつけます。

  ホワイトアップル (S.forte)、美味しい果物

  スムースバークローズアップル(S.hodgkinsoniae)

  スモールリーブリリピリー(S.luehmannii)、ケープシーからクックタウン渡って生育しています。

  テースティ(S.minutuliflorum)

  ブルーリリピリー(S.oleosum)、多分最も風味が良いでしょう。

  マゼンタリリピリー(S.paniculatum)、シドニー地域で最も一般的に栽培されています。

  ブッシュアップルまたはホワイトアップル(S.suborbiculare)、最近シードレス(種無し)が発見されました。

  リバーチェリー(S.tierneyanum)

  S.wilsonii別のおいしい種類。

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2010年12月02日

マカデミアナッツ

マカデミアナッツ

Macadamia Nuts

 

マカデミアナッツ


マカデミアナッツ、一般的にはクイーンズランドではクイーンズランドナッツそして米国ではハワイアンナッツと呼ばれていますが、は栽培されることで種を保護してきた素晴らしい例です。2つの種類(Macadamia integrifolia macadamia tetraphylla)が、現在オーストラリアで広く栽培されており、ニューサウスウエールズのもともとの原産地域で見られることは非常に稀です。元来自生していたブッシュランドは農業用に整地されてしまいました。整地の過程で、マカデミアの木のみならず他の多くの価値があったであろう植物も消滅してしまいました。この食材の宝庫であった自然環境は多くのアボリジニの生活を支えていたのです。


 


 マカデミアは自生している所ではどこでもアボリジニにとっては重要な食物でしたし、最初の入植者たちも食物として取り入れるのに時間はかかりませんでした。最初のマカデミアプランテーションは1870年にクイーンズランドで、そして1890年にハワイでパイナップルやサトウキビプランテーションの周りにある火山灰の傾斜地に木が植えられ確立されました。それからしばらくして、マカデミアこれまでのパイナップルなどの通常作物に取って代わるようになり、世界にハワイアンナッツとして紹介されました。


 マカデミアナッツは脂肪含有量が非常に高く(約70%)、そのほとんどが単不飽和脂肪酸です。これは、動脈が詰まらないようにする効果がありますが、含有エネルギー量が非常に多いので食べ過ぎは禁物です。

 
 ナッツは生でそのままでも、あるいはローストしても食べられます。今では多くの分野、例えばお菓子類、ケーキ等の加工食品等で使用され、さらにマカデミアバターや冷温圧搾されたマカデミアオイル等も製造されています。


 マカデミアの木は、2階部分を遮蔽するカバーとしてバックヤードガーデン(裏庭)に適しています。しかし、木の上と下にどういうものが生えているか考慮されなければなりません。木の葉の下で雑草が繁茂してくると、ナッツが熟して地面に落ち始めた時に収集が非常に困難になります。マカデミアが日陰にありすぎると花のつきが悪くなりますが、受粉するオーストラリア産の蜂がいればそれを埋め合わせする事が可能です。オーストラリア産の蜂は、今では花の受粉とナッツ産出を増加させる為に飼養されています。凶暴なヨーロッパ産蜂はオーストラリア産より受粉という面において非効率的でかなり大変です。


 マカデミア栽培は長期にわたる仕事です。最初の収穫ができるまで最低でも5年あるいはそれ以上かかるでしょう。しかし、木は長年にわたってナッツを実らせつづけます。19世紀終わりにハワイに植えられた木のいくつかは1世紀過ぎた今でもナッツを実らせています。

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2010年09月13日

ワトルス

ワトルス(オーストラリアの国花ーアカシアの一種)

Wattles

ワトルス  どれだけの種類のワトルスがオーストラリアにあるかほんの少しの人しか知りません。850−1,000種類にのぼるワトルスについて植物学者でさえも正確な答えを出せません。




 

また、それらの中で、ある種類はローカルな植物なのか外から入って来た物か区別の困難な物もあります。ミモサブッシュ(Acacia farnesiana)はその良い例です。ミモサはしばしばアフリカから導入された植物として記録されていますが、乾燥地帯のアボリジニは蛇にかまれた時の治療処置として使用する方法を確立しました。また、イギリスのエンドウ豆と同様に調理した種子をまだ青いうちに食材として使用していることも記録されています。

 
 一般的に、ワトルスは潅木的なものから中サイズの木にまで広い範囲に渡っています。本物の葉っぱは再羽状裂となっているかもしれませんが、偽葉に変化させていたり、あるいは枝が変化して葉っぱとしての役割を果たしていたりとさまざまです。花は、頭状花か円筒状の穂錘花の形をしています。また、実は黒か茶色の種子膜に被われた種の入った豆です。ある種の種子はさやの中にある種子を留めている多肉質の構造をした仮種皮を持っています。仮種皮は白から始まって黄色、赤とさまざまな色があり、白は蟻を惹きつけ蟻が仮種皮を集めている間その種をばら撒いています。色のついた仮種皮は種子ばら撒き役となる鳥をひきつけます。

 
 ワトルスは採集家に多くの食物を提供し、特定の種類は食用の種子、樹液そして根を持っています。種子と根は通常ローストし、樹液はそのまま食べたり、あるいはお湯に浸してゼリーにしたりします。ゼリーを食べる時に甘味料を加えたりあるいはもともと甘味成分を含んだ種類の樹液を使用します。アボリジニが使用していると記録してあるワトルスの種類は後で紹介します。


 栄養的に、ワトルスは高蛋白ですが肉や大豆と同じように完成された蛋白質かどうかはまだ定かではありません。種子に含まれるその他の主な栄養成分は脂肪(いくつかは複不飽和脂肪酸)、複合炭水化物、繊維質そしてさまざまな微量金属成分などです。ワトル樹液のほとんど100%が水溶性繊維質で食用の根は炭水化物とミネラルを含んでいます。

 
 ある特定のアボリジニグループに対してのワトルシードの重要性に言及した話は、非常に稀です。アリススプリングス北東にあるトライバルランドのアルヤワラ(Alyawarra)族は、伝統的に15種類の種子を使用しそのうち何種類かは一年を通して常食として使用していました。アボリジニは主食生活の重要度(栄養摂取とドリーミングの両方に対して)によって、潅木種子系と草原種子系に分かれていました。

 
 食材としてワトルシードに大きく頼っていたのは、ドライランド(乾燥地帯)のアボリジニでしたが、他の部族が無視していたわけではありません。6種類のワトルシードが、シドニー南のビークロフト半島のアボリジニによって食材として使用していた事が記録されています。西アーネムランド(Western Arnhem Land)のマヤリ族(Mayali)は、2種類のワトルシードを食し、さらに15種類は文化的要素でした。キンバリー(Kimberley)北部のカルムブル(Kalumburu)地区では、1種類のワトルシードのみが食されました。

 
 シドニー近郊のアボリジニは、少なくとも3種類のワトル(A.longifolia, A.sophorae, A.suaveolens)を使用しました。これらは粉に轢くよりむしろ乾燥させないで蒸した後に青い状態で食されました。乾燥地域の人々と異なり、シドニー近郊のアボリジニは主食としてダンパー(Damper−一種の堅パン:熱い灰の中で焼く)を持っていませんでした。シドニーゴールデンワトル(A.longifolia)もまたマレット(ボラ科の魚)漁の時期に開花することからご当地ブッシュカレンダーの中で使われています。

 

ワトルシードを食材として使用することは、その豊富な収穫量からも可能です。マルガ(A.aneura)は、今でもオーストラリアの乾燥或いは亜乾燥地帯の広い地域で目立った存在ですし、ウィジュティブッシュ(A.kempeana)もまた一般的です。多くの種類の種子、特に宿存性仮種子、を食品にすることが可能です。これらの仮種子は非常に油性分が多く種子の脂肪含有量に大きく寄与しています。多くの仮種子のある種子は、伝統的に水がたくさん入ったクーラモン(アボリジニが水や赤ちゃんを運ぶ入れ物)に入れて収穫します。種子は手でこねて仮種子を分離し、油の味とともに水で味付けをします。出来上がった飲み物は、普通の真水よりも面白い味がするだけでなくエネルギーを与えてくれます。半加工された種子は元に戻し、ダンパー(堅パン)にすることが出来ます。 

 
 下記に明記してあるグリーンワトルシードの処理法は、どのような食用ワトルの種子にも適用できます。一般的に、青い状態で食べられる種子(例:A. coriacea, A. farnesiana)は大きいか、あるいは多くのサヤに入っている中サイズの種子(例:A. aneura, A. longifolia, A. suaveolens, A. sophorae)のある種類からなっています。

 

1.      未熟のレギューム.(野生ヤブツルアズキーアズキの祖先)を刈り取り、青い
 種子を収穫する。

2.      早く燃える小枝で火を起こすか、あるいは熱い灰を使用する。

3.      種子が蒸される時間を見ながらサヤを調理する。

4.      サヤを開けて、中の種子を取り出す。

5.      種子をそのまま食べるかあるいはグリーンピースを食べる要領で食べる。種
 に付着している色の付いた仮種子を含むこと。

 

未熟の青い種子を蒸すことは、抑制酵素の栄養破壊活動を減少させます。この処理法はまた樹液の渋みを減らし、種子を取り出しやすくします。

 乾燥したサヤや地面から収穫された種子は、下記の方法で粉末処理されます。

 

1.堅い殻に被われている種子を皿に置く。

2.火の付いた炭を加えて混ぜる。軽く炙ることで、種子の殻が剥がれやすくなり
  ます。

3.ヤンディング(アボリジニが粉を轢く時に使うテクニック)することで全ての灰、炭、種子殻を取り除きます。粉に引く前のこの掃除は、食物繊維への種子殻の混入を減少させます。

4.残った種子を轢く。

5.種子を炙り、掃除した後、轢いて粉をつくり、あと水でこねて調理してダンパー(堅パン)が出来上がります。

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2010年08月02日

街中(まちなか)の植物採集

街中(まちなか)の植物採集

Foraging in the City

 

市街地
より多くのローカル植物がユニークなオーストラリアンブッシュの環境を創造するために使用されています。街路、道路の縁、公園、ビルの周囲、ショッピングセンター、教会の中庭、駐車場等その他の公共の場は、現在では意図的かわかりませんが都市部の植物採集家にとって恩恵を被るような造園がなされています。さらに良いことは、サイズが大きいことから個人の庭に植えられないような木がこうしたところに植えられていることです。これらの公共の場に植えられている植物を採集することは、興味のある栄養価の高い食用植物を供給することで1年を通して野生食材を補足します。

 





半世紀以上たった教会の植物の生い茂った中庭や私立学校の校庭では、数本のブンヤ−ブンヤパインツリー(bunya-bunya pine tree)をよく見かけます。クリスマスの時期になると、こうした木からパイナップルの形をした毬果(松毬のようなもの)がたくさん落ちてきて、その一つの実から30個以上の甘いナッツが取り出せます。風味ある大量の種の入った木質のさやを持ったイラワラフレームツリー(Illawarra Flame tree)もまたこのような造園ではポピュラーな植物です。

 大きな木から取れるブッシュフードは多く種類も豊富です。リリピリース(Lillipillies)、キャンドルナッツツリー(Candle nut trees)、ペーパーバークス(Paperbarks)、イチジク、マカデミアナッツ、アスペンツリー(Aspen trees)そしてカカドゥプラムツリー(Kakadu plum trees)等は、街路樹としてあるいは時には空き地で見られます。カカドゥプラムツリーは、1974年のクリスマスにサイクロントレーシーがダーウィンを襲ったときに唯一倒れないでいた木です。実の部分、ナッツ、種子、樹液は地元の人々の好意で時々分けてもらえます。これは特に、例えばブラウンパインプラム(Brown Pine plum-Podocarpus elatum)等の黒っぽい色の食材について言える事で、これらの食材は熟してくると地面を覆い踏みつけられて家の中のカーペットやマット等床を汚してしまいます。多くのありふれた潅木類は、街の植物採集家にブッシュフードをもたらしてくれます。ハニーグレビリア(Honey grevilleas)、ネーティブジンジャー(Native ginger)、ワトルス(Wattles),ジーバングス(Geebungs),ミディムベリー(Midym berry)等その他の土地のグアバが収穫できます。草地でさえもイヌホオズキ(Nightsahde)やアカザ(Pigweed)等を見つけることができます。ある種のブッシュフードはボゴング蛾(Bogong)の移動時期に羽に乗って来たり、セミになるために地面から這い出たりしてきます。

 田舎の町では、クラジョン(Kurrajongs)はメインストリートの中央分離帯のグリーンとして使用されており、ネーティブラスベリー(Native raspberries)は牧場フェンスに沿って育成し、また食用の虫が多く見つかるタンブルウイード(Tumbleweed−ヒユ、アカザ等)が町の郊外に広がっています。オーストラリアのアウトバックの中心に繋がる道路脇には、コンカーベリー(Konkerberry)、ブッシュポテト、野生トマト等の野生食材が繁っています。ポルツラカ(Portulaca−スベリヒユ属の植物、マツバボタンの一種)が不毛な乾燥地帯の全域に広がっており、ブラッケン(Bracken−ワラビの類の茂み)は同様にやや環境の良い地域に生育しています。ほとんどの水場やダムでは、カミカヤツリ(Bulrush−フトイ属やガマ属の植物)、ウオーターリボン(Water ribbon)、スパイク(Spike rush−トウシンソウ属の植物)、ヤビーズ(Yabbies−ザリガニの一種)等がみつかります。牛のいない水の流れる谷間はブッシュフードのスーパーマーケットと言っても良いでしょう。

 ブッシュフードの事が解っていると、思いもよらない意外なところで食べ物にありつけるかもしれません。ここでは都市部で見つけられるブッシュフードを紹介しましょう。

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2010年06月21日

ブッシュフードの栄養価値

ブッシュフードの栄養価値

Nutritional Value of Bush Foods

 

seeds & apple berriesブッシュフードの生育範囲、性質また調理法は、食用部分の栄養価値に関連があります。未完熟な食物は、栄養面でピークに至っていませんし、熟しすぎても、調理しすぎても同様です。例えば、ローストしたり、蒸したりする調理法でビタミンを破壊したりします。多岐にわたるロースト、すりおろし、濾過等は水溶性ビタミン(例えば:ビタミンC)を除去し、澱粉を多く作る結果となります。



 一般的に、ブッシュフードは普通のアボリジニ的でない食材と栄養的にはそれほど大きな違いはありません。強いて言えば、果物や根菜類のような食物で水分が一般のものより少ない場合栄養価が濃縮していることがあります。意外なところでは、Kakadu PlumTerminalia ferdinandiana)や野生動物の肝臓にビタミンCが多く含まれていること、野生肉や種子に含まれている多価不飽和脂肪酸、脂肪含有量の少ないナッツ類、多くの種子類に見られる高脂肪・高蛋白、ミネラル豊富なマングローブ虫(Mangrove worm)やその他の食材があげられます。

 灰や炭で調理すると食物のミネラル成分が増加しますが、こうした灰や炭のミネラルが食物に吸収されるかは定かでありません。といっても、有機食材と比べるとミネラル含有量は少ないようです。その他の調理技術、例えばワトルシード(Wattle seed)の焙煎、もまた反栄養作用の活動を減少させることで食物の栄養価値を高めます。種子からのタンパク質吸収度を弱める働きのある抑制酵素を温度が分解してしまいます。

 アボリジニ食材とそれ以外の一般食材で見られる顕著な栄養面での違いは、複合炭水化物でしょう。ご承知のようにこれらの炭水化物は種子、ナッツそして根菜類に多く見られます。しかしながら、炭水化物の質は食物をよりゆっくりと消化しやすいように溶かす複雑な分子構造を反映しています。これは、食物にあった新陳代謝の適応力を持っていることが明らかである多くの狩猟社会や個人で必要不可欠な要素です。もし食べた炭水化物が一般食品のように、より精製されて吸収が早い場合、 その適応能力は文明病として知られている疾病素因となってしまいます。これらには、肥満、多糖症、糖尿病そして他の循環器障害などが含まれます。ブッシュフードに見られる吸収のより遅い複合炭水化物をベースにした食生活に戻る事で、これらの病気の症状を軽減させることが証明されています。適度な運動と低脂肪の食生活はこれらの病気に影響されやすい人々の健康に寄与することでしょう。

 特定の栄養素という点では、食肉は飽和脂肪酸の低いタンパク質と鉄分の源です。内臓は様々なビタミンを供給してくれます。果物類は水分、水溶性ビタミンやミネラルが豊富で、食物繊維の重要な源となっています。植物樹脂や根菜類もまた植物繊維の含有量が高く、またあるケースでは単純な炭水化物です。野生の蜂蜜はタンパク質含有量の高い花粉とミックスされ糖分としてエネルギー源となります。緑草類はあまり食べられていません。おうおうにして強い毒素を伴ってはいますが、かなりの量のミネラルを含んでおり常食としてよりもむしろ非常食として位置付けられています。

 4−5万年以上に渡って、アボリジニのブッシュフードの選別法は十分に変化のあるまたバランスの取れた食生活をもたらしました。さらに、アボリジニ的ライフスタイルは一般的に人間の生存に影響を及ぼすような品種改良などをしない野生のままの特質を持った食材供給を維持しました。

 ブッシュフードについての誤認は、食用とする前にかなりの部分を処理しなければならないということです。明らかに一部の食材は必要ですが、ほとんどの場合普通の一般的な食材と変わりません。残念ながら、ほとんどのブッシュフードはローストするぐらいの処理で食用となるのですが、25,000種に及ぶオーストラリアの植物のほとんど(75-80%)はそうでないということです。

 ブッシュフードを採集する時は、ブッシュフードを見分ける為に植物学を少し勉強する必要があります。特定の植物学的描写が求められることはほとんどありませんが、関連植物の一般的な特徴を認識する事は食用植物についての勉強や、類別しなければならないなじみの薄い植物の性質について推量する場合に役立ちます。一旦、一般名という壁を飛び越えて植物の属性や類に精通してくると、植物採集はオーストラリア固有の植物体系の認識に新しい次元をくわえることが可能となります。

 学習する名称は「たった」20-25,000しかありません。そして、そのうち4,000-5,000種類が食用部分のある植物です。ブッシュ薬草は約5,000種あり、一部は食用・薬用と両方の機能を持っています。オーストラリア中にある100種類かそこらの植物の実用的な目録は、アボリジニが常食としている食材を含めれば1年中ほとんどの時期に食用可能な植物情報を与えてくれます。

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2010年05月19日

The Bushfood Handbook・・・・・新食物と旧食物

New Foods and Old ones. Is it Food?

 

Cobra


コブラとして知られるマングローブの虫












私達は周りにいる人や、自分自身で新しい物を食べてみることにより食物について学びます。
こうすることが、身近でない物を食べられる食物として認知する力を発達させます。しかし、文化的背景や食物への姿勢が新しい経験、風味、歯ざわり等に対する反応に影響を与えることがあります。食物は明らかに人間が生きてゆくうえで重要な要素です。そして、これまで食べ慣れていた食物以外の物を食べると恐怖感や不安の原因ともなります。これから口に入れようとするもので病気になったり、死ぬのではないかと思ったりもするでしょう。そうならないためにも食べ物についてしっかりした情報を入手する必要がありますし、もし食べ物を採集するのであればどのような種類なのか正しく確認しなければなりません。

 

ブッシュから取れる多くの食物は、味覚的に既存のものと比べて真新しく好ましいものとしてすぐにでもアピール出来るでしょう。他のブッシュ珍味は全く新しい,慣れない風味という点でチャレンジ精神が必要かもしれません。人によっては、これまで慣れ親しんだ風味以外の食物は全く受け付けない場合があるでしょう。あるいは、
witjutimangroveの虫等食文化的側面から受け入れられない食物もあります。

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2010年04月20日

The Bushfood Handbook・・・・・アボリジニと食物-2

 アボリジニオーストラリアのあらゆる地域で、伝統的なブッシュフードは健康に必要な全ての栄養素を含んでいます。内陸部から沿岸部にあるそれぞれの部族地では150−500種類の異なった食材がありました。大陸全体でも食用となる植物は4,000−5,000種類にのぼりました。また、動物、食用植物、魚介類、昆虫等を含めた全ての資源は10,000種類近くだったようです。

 全ての食材が毎年使用されたわけでもありませんし、また部族の誰もが入手できたわけではありません。一般的に、男はカンガルー、ワラビー、エミューやその他の哺乳類の大型動物を狩猟しましたが、常に狩猟に成功していたというわけではありませんでした。狩猟が成功した時には、伝統的な戒律にしたがって料理され分配されました。大人社会の仲間入りをするためのイニシエーションを受ける若者達はエミューや内臓等の臭いの強い肉を食べる事は許されませんでした。これらは部族の年長者用に残しておかれたからです。子供や女性には特定の時期や場面で異なった制限が適用されました。ほとんどの地域でこれらの規則や習慣は、昔も今も実施されており他の人が食事をしていても誰も空腹になることはありません。

 一部の食材は誰でも伝統的な制限を受けることなく食べられますし、ブッシュの多くの珍味は外に出るたびに熱心に捜し求められます。ある種の花はネクターを作るのに適していることで知られています。糖分の多い果物は収集され、蜂蜜や蜜蟻は巣が見つかった場合はいつも収穫されます。ある種のワトル(オーストラリア産のアカシアの一種)からとれる甘いガムはブッシュのお菓子(キャンディ)にもなります。

 全ての有用な食材が必ずしも使用されているわけではありません。例えば、固有のナツメグ(Mystica inspida)は一般で使用されているナツメグと同じ風味ですが、アボリジニが調味料として使用した記録はありません。一部の部族では食材として認識されていても他の部族ではそうでない場合もあります。

 アボリジニ固有の道具は食材の収集や処理をより容易にしました。木材は形、木目、硬度、耐久性等の特性によって選択されました。ドライランドプラムブッシュ(Santalum lanceolatum)の木はブーメランを作るのに使用され、グラスツリー(Xanthorrhoea)の穂で槍柄が作られました。様々な木(例えば、マルガ、ガムツリー等)の柔軟で強靭な枝は素晴らしい槍投げ器となりました。クーラモン(木製の皿)はビーンツリー(Erythrina vespertilio)のような軟らかい木でできており、穴掘り棒は鉄のように硬い木(例えば、アイロンバーク)でできています。クラジョン(Brachychiton spp.)またはスクリューパーム(Pandunus)からは、ロープ、バッグ、ネット等を作るのに適した紐になる繊維がとれました。火は日常生活で重要な役割を果たしており、異なった用途により異なった種類の火がありました。ガムツリー材等の密度の高い木材は炭になるまで燃やされ、その火は保温やカンガルーの丸焼きに使用されます。虫、蛾、野菜等の小さな食物を料理するのに熱い灰が必要な時は、軽い木材が使用されます。伝統的にアボリジニは木を擦ったりしてその摩擦熱で火を起こします。これは非常に辛い作業のため、一旦火がついたらたびたび火を起こすより燃やしつづけるほうが楽でした。ある部族の習慣の一つは、キャンプ(居住地)を移動する際火も一緒に持ち歩く事です。やり方としては、まず火の中に堅木の断片を入れ、それから棒の束の中に燻した石炭状になった堅木を入れて運びます。ペーパーバークツリー(Melaleuca)から剥した樹皮を固く丸めて、それの一方の端に火をつけて松明として使用することも可能です。ちょっとした空気の動きが松明を明るく燃やし続けます。もし静止させて持つと、炎は消えますが樹皮の油性分が松明を燻らせつづけます。これは歩きながら火を運ぶもう一つの方法です。火を燻らせる事で、その煙が蚊を追い払ってしまう効果があります。炎が必要な場合は単に息を吹きかけるだけです。

 40,000-50,000年に渡るオーストラリアにおける天然資源のアボリジニ的活用法は、アボリジニ文化が常に自然に対して深い尊敬の念を持っていたことと自然サイクルを本質的に理解していたからこそ可能だったと言えるでしょう。環境に対するこの思いやりは、産業社会が地球上で許容できる生活を維持する為にアボリジニから学ばなければならない教訓です。


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Posted by Kangarooman at 23:08Comments(0)TrackBack(0)

2010年04月08日

The Bushfood Handbook・・・・・アボリジニと食物

アボリジニと食物

Aborigines and Food

Mountain devil 



Mountain devil

花からはのどの渇きをうるおすほどのネクターがとれますが、飲みすぎると頭痛の原因ともなります。

これはヒスタミンを含有しているアミノ酸から成っているためです。









    今でも多くの食物を採集しているアボリジニがいますが、彼らにとってブッシュフードは生命を維持する源泉以上のものです。彼らのまさに存在そのものが生命サイクルの中での調和或いは宗教的原則に依存しています。メルビルやバサースト諸島では、ヤム芋(
dioscorea bulbifera bulbifera)はティウイ(Tiwi)族のクラマ(Kulama)イニシエーション儀式の重要な部分となっており、女の子たちは収穫時期と複雑な加工調理の詳細を教えられます。アリススプリング北東の乾燥地帯では、アルヤワラ族にとってのワイヤリーワトル(オーストラリア産アカシアの一種)の重要性は、この種の乱獲に関してはっきりした懸念が表明されています。ある種の食物が可能性のある作物だと考える前のコンサルテーションは重要なステップです。過去にアボリジニから何かを学んだとしたら、ブッシュフードの普及あるいは栽培はこれらの食材を発見した人々の支援と協力のもとに行なわれなければなりません。ブッシュフードは美食家達のイマジネーションと食材としてだけでなくアボリジニの健康と栄養に寄与しなければならないからです。

 オーストラリア人は今、アボリジニが虫(Witjuti Grubs)やカンガルーに限らない多くの食材を食べていた事を学びつつあります。彼らの食生活には数百種類にのぼる果物、木の実、種子、野菜、昆虫や肉等が含まれており、そしてブッシュフード運動の一部として食べたりまたは栽培する価値のあるものです。

 アボリジニ食材に関する私たちの知識は人類学と植物学がリンクしている学問の一種である民族植物学(Ethnobotany)から来ています。1970年代まで、民族植物学に関するコメントや情報は多数の著者によるオーストラリア固有食物の膨大なリストでした。これらのリストには食物の収穫や調理方法等が含まれており、そして時にはアボリジニが考えもつかなかった狩猟採集から農耕栽培への進歩においてアボリジニ的食習慣を位置付けるよう試みました。場合によっては、固有の果物(例えばquandong, Santalum acuminatum)の栽培の可能性を示唆するケースもありました。しかし、アボリジニによる食生活でバラエティに富んだ料理法の開発に言及されることはありませんでした。

 アボリジニ社会は私達と異なった文化と価値感を持っています。ヨーロッパ人の気風は競争的、収奪的そしてリニアル(線形的)ですが、アボリジニのそれは昔も今も協力的、保全的そして循環的です。アボリジニ文化はこれまで常に天然資源に依存するだけでなく保存すべき環境とある種の関係を保ってきました。彼らの植物に関する伝統的な知識と使用法はシンプルでも前農業的でもありません。最近では、アボリジニがこれまで資源保持の有能な管理者であったことが認められていますし、一連の農耕を発達させていたことも知られています。ある地域では、アボリジニによって使用されている現代の土地は今でも環境を破壊するヨーロッパ人の伝統を受け継いでいます。というのもヨーロッパ人が耕作していた産物だからです。もう一つの考慮すべき事柄はアボリジニが好んで食べるエミュー、ジュゴン、亀、ハリモグラ等の動物達の捕獲が今でも続いていることです。かなりの数のハンターと効率的な捕獲方法でこれらの伝統的な食材となる動物の頭数が必要以上に収奪されやすくなっています。適切な捕獲コントロールがこれらの資源保護、伝統的食材の使用そして地域の人々の栄養供給に寄与することとなります。

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Posted by Kangarooman at 17:30Comments(0)TrackBack(0)

2010年03月31日

The Bushfood Handbook・・・・・ブッシュフード栽培と供給

ブッシュフード栽培と供給

bush farming

Bush
Food Farming, Cultivation and Supplies

 




  産業化社会以前の人間の歴史は、より多くの人々の生活を支えるために増加する食糧を物語として捉えています。しかし効率的な食糧生産システムを開発することが、必ずしも現代人がそれ以前の世代よりも優れた食物を食べている事にはなりません。効率的で高い生産性を目指す事は、つまるところ世界の食糧生産の巾をせばめる結果となっており、引いては自然の生態系から多くの種を絶滅させています。選別された種の家畜化は人間との共存というより、むしろ人間を軸に食用として進化させることでこうした家畜は環境に適応する能力を失うこととなりました。さまざまな固有の植物をベースにした農業の発展は、そこの環境に適した作物を育てることが可能ですが、作物を環境に合うように品種改良したりあるいは環境を変えることには無理が生じます。現在の食糧の高生産性は、こうした作物を人工的な環境で育てる事でのみ維持することが可能となっています。世界のほとんどの食糧は十数種の限られた作物から成っており、こうした限られた種類に依存している危険な状況を打破すべく農業資源を拡大させる必要に迫られています。

 オーストラリアにおいては、1980年代にグルメ志向レストランのブッシュ素材に対する需要に応える形で素材の多様化が始まりました。安定供給を確実にするために、アボリジニの土地所有者とアボリジニ以外の農場主がより多くのバラエティに富んだ作物の生産を開始しました。こうした農場主は、ブッシュフード素材が過去の農業が犯した過ちを繰り返すべきでないと考え、かわりに土着種の作物生産のための適切な土地活用技術の開発を通して環境保護の万能薬となるべく認識しています。これまでの通常の農業技術そのものはブッシュ素材の栽培には役に立ちません。混合農法(換金用作物・飼料作物の生産と牧畜を一農場で行なう)、ブッシュランドの肥沃化、受動的農業用水管理等の他の技術を採用しなければなりません。オーストラリア固有のカンガルー等の軟足動物はオーストラリアの牧歌的土地に適していますし、足の硬い有蹄動物に替わって育成されるべきです。東部の州の牛や羊の牧畜ロビーは長期間に渡って栄養面でも非常に有益なカンガルーの養殖を産業化することを妨げてきました。現実問題として、私たちにそれほどの選択肢は残されていません。もしカンガルー産業が捕獲から養殖に再編成され、カンガルーだけでなくエミュー、イグアナ(大トカゲ)、虫等が食卓に並ぶようになる可能性を探れるようになれば環境にとってさらに良い事でしょう。これは単に教育と啓蒙することで解決する問題です。もし私たちがこの惑星をやわらかに歩けば、農業は土地に頼らなくてすむだけでなく土地を扶養することになるのではないでしょうか。

 

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Posted by Kangarooman at 23:21Comments(0)TrackBack(0)