2005年04月20日

アボリジニの知恵

 温故知新は世界共通のようだ。

 

 最近オーストラリアでは食生活面でアボリジニの知恵に学ぼうという動きが広がってきている。これまでオーストラリアのアボリジニはヨーロッパ植民者に征服された民族として、彼らの文化はつい最近迄サブカルチャーとして扱われ重要視される事が無かった。それどころか、彼らは常に社会の底辺で虐げられてきた。そして、それは現在でも続いている。

 しかし、生活習慣病、BSEをはじめさまざまな現代型食生活の矛盾が噴出している現在、アボリジニが数万年にわたって培ってきた知恵が脚光を浴びつつある。特に昔の日本人がそうであったように自然環境を変えるのではなく自然と共存する伝統的なライフスタイルだ。皮肉な事に、今の日本人がそうであるように多くのアボリジニが都市部や居留地に居住して伝統的なライフスタイルを放棄して西欧型に変わりつつあるのが現状だ。そうした中で、西欧型食生活に矛盾を感じるオーストラリア人を中心にアボリジニのライフスタイルと西欧型ライフスタイルの融合をはかろうとしている人々がいる。

 一つの例をあげると、ブッシュメディスンの家庭菜園での栽培だ。昔、私達が子供の頃ケガをした時にヨモギの葉っぱを唾でこねて傷口にあてて治したことを思い浮かべればいい。それがいつのまにか赤チンキに変わり、いまではキズバンドだ。それはそれで構わないが、日本人も何か忘れてしまったのではないだろうか?オーストラリアにはアボリジニが重宝した薬草がたくさんある。

 

薬草の一部を紹介すると以下のとおりだ。

Angophora costata(シドニーアップル)

 下痢止め、キノの10%溶液の150−200mlを飲用。

Capparis lasiantha(ブッシュオレンジ)

 植物の分泌液は虫刺されによる腫れをひかせる。

Canavalia rosea(ビーチビーン)

 葉っぱは火傷の痛みを和らげ治癒を促進。

 砕いた根の分泌液はリューマチや風邪からくる痛みを和らげる。大変お薦め。

Cissus hypoglauca(ネーティブグレープ)

 果実でうがいすると喉の痛みを和らげる。

Crinum spp(クリナムリリー

 球根あるいは葉の分泌液は消毒剤で、

 これまで海洋生物による刺し傷の痛み止めとして使用されてきた。

Eucalyptus citriodora(レモン香ガム)

 抗生物質でありユーカリオイルの一種であるCitrlodoralを含んでいる。

Eucalyptus gummifera(ブラッドウッド)

 防カビ、抗菌、消毒作用がある。

Eucalyptus haemastoma(スクリブリーゴム)

 消毒作用があり、切り傷、潰瘍、ケガなどに使用される。

Eucalyptus spp(ゴムの木)

 下痢治療に使用される。

Eucalyptus vimlnalis(マナゴム)

 下剤として使用される。

Exoecaria agallocha(マングローブの一種)

 ゴム成分は魚による刺し傷の鎮痛作用がある。

Ficus coronata(クリークサンドペーパーフィッグ

 ゴム成分はキズの治りを早める。

Ficus opposita(イチジク)
 ゴム成分はタムシなどの真菌性疾患の処置に使用される。

Flueggea viros(ホワイトカラントブッシュ)

 若葉からの分泌液はアセモや水疱瘡の痒みを抑え、

 開いたキズ口を治癒させる。

Geilera parviflora(ウイルガ)

 局所(皮膚)麻酔性がある。非常にお薦め。

Hibiscus tiliaceus(コットンウッド)

 樹皮の内側から出る滲出液はキズの手当に使用される。

Melaleuca quinquenervia(ブロードリーフペーパーバーク)

 葉を砕いて臭いを嗅ぐ。

 薬用ユーカリオイルの中にメンソール成分が含まれている。若葉を砕いて、

 揮発成分を吸い込むと鼻の通りが良くなる。

Mentha australis(ネーティブミント)

 植物を砕いて揮発成分を吸い込む。頭痛の手当に使われる。

Morinda citrifolia(グレートモリンダ

 根の樹皮から出る分泌液は消毒作用があり、葉は包帯としてキズ口に当てる。

Myristlca insipida(ネーティブナツメグ)

 樹皮からの分泌液はタムシ治療に使用。

等・・・・・・・・・・。なるほど、これらが裏庭に植えてあれば薬箱はいらないかもしれない。

 

 欧米一辺倒のライフスタイルを省みて、私達ももう一度長い歴史の中で培ってきた日本人の多くの知恵を見つめなおす時期にさしかかっているのではなかろうか?

 



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